介護事業を開業するとき、事業を始めるとき、あるいは設備投資をするときは、まず資金が必要です。とはいえ、全額を自己資金で賄うのは難しく、多くの人は、融資制度を使って必要な資金を調達しています。ここでは、介護事業者が利用できる融資制度をご紹介します。
日本政策金融公庫が融資を行っている融資制度に、「新規開業資金・新創業融資制度」があります。
事業の種類が限定されておらず、新しく事業を創業して日が浅い人であれば申し込みができます。無担保・無保証人でも利用できるので、比較的利用しやすい制度として有名です。
ただし、事業開始前、または事業開始後で税務申告を終えていない場合は、「創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方」など、自己資金の要件を満たさなければならないので注意が必要です。
こちらも日本政策金融公庫による融資制度で、高齢者や障がい者の介護・福祉、子育て支援、まちづくり、地域活性化や環境保護など、地域や社会が抱える課題の解決に取り組むソーシャルビジネスの開業を計画している方が利用することができます。
中小企業・小規模事業者、NPOの方が対象で、融資限度額は7,200万円。その内運転資金は4,800万円が上限となっています。過去の実績や営利性が強くなくても融資を受けられるのが特徴で、民間企業と違い、財務状況によらず一律に低金利で融資を受けられます。最長で20年と、長期の借入れが可能な点も特徴です。
全国信用保証協会連合会という組織に仲介してもらう形で、一般の銀行から融資を受けることができます。通常、銀行の融資は信用や実績がない事業・企業にはなかなか融資をしてくれませんが、信用保証協会が仲介を行うことによって、銀行から融資を受けることができるのです。
ただし、市や区の管轄との面談や信用保証協会の審査、金融機関の審査など手間と時間がかかります。条件が日本政策金融公庫より良い場合や、日本政策金融公庫の融資額だと資金が不足する場合などに、併用するのがおすすめです。
福祉医療貸付制度は、厚生労働省・こども家庭庁所管の独立行政法人である、福祉医療機構によって実施されている社会福祉事業者や医療事業者を対象とした融資制度です。
国や地方自治体による補助だけでは運営を安定させられない介護事業者や社会福祉施設などのために、「長期・固定・低利」をコンセプトにした融資制度を実施しており、福祉貸付事業と医療貸付事業という2種類の融資によって事業所の設立や健全運営を支援しています。
取引先の銀行や信用金庫などの金融機関へ融資を直接申し込むことも可能です。
特に信用保証協会を介した場合、債務保証を得られるため融資審査に通りやすくなる反面、審査が信用保証協会と金融機関でそれぞれ実施されるため、通常よりも2倍の審査を受ける必要があります。その結果、必然的に資金調達まで時間がかかってしまう点はデメリットです。また保証料を信用保証協会へ支払わなければならず、その点でも金融機関への直接申込みが有利になることもあるでしょう。
ただし、業績が不安定な事業者や設立から間もない事業者の場合、経営に対する信用がないと判断されて審査が厳しくなるため、そのような場合は信用保証協会に仲介してもらった方が無難です。
ローン会社などが提供しているビジネスローンであれば、金融機関からの融資に断られた場合でも利用できる可能性があります。また融資の審査スピードが早く、審査基準についても金融機関などと比べれば条件が比較的緩和されていることも特徴です。
しかし、そもそもビジネスローンは金利が高めに設定されており、結果的にキャッシュフローがより一層悪化してしまうリスクもあります。そのため基本的には他の資金調達を検討した方が良いでしょう。
介護事業者が融資成立を目指そうとすれば、以下のようなポイントに注意しなければなりません。
融資制度や融資事業にはそれぞれ制度趣旨や事業目的が設定されており、それらと合致しない事業や用途に対して融資が認められることはありません。そのため融資を申し込む場合は、資金の使い道や利用目的を明確化した上で融資相談を受けることが必要です。
なお、虚偽申請や提示した融資目的と実際の用途が違う場合、融資が取り消しになることもあります。
融資を申し込む際には、事業や利用目的に合わせて必要な金額をあらかじめ算出しておき、どれくらいの資金の融資を希望するのかきちんと説明することも大切です。
明確な融資額や必要な金額が提示できないということは、そもそも事業計画に不備があったり、資金の用途が適切に策定されていないと判断されたりしてしまいます。また、金額を合理的に算出できない時点で、収支計画や償還計画の信頼性が失われてしまうこともポイントです。
融資金の返済について、合理的な根拠や詳細な償還計画にもとづいて実効性をアピールしなければなりません。漠然と返済する意思を示すのでなく、どのようなキャッシュフローで返済が行われるのか、完済までの期間や流れや、突発的な事態に備えた危機管理の具体策といった細部までしっかりと検討しておきましょう。
資金繰りに課題を抱えているからこそ、資金調達の方法として融資を利用したいと考えるのですが、明らかに自己資金が少なかったりキャッシュフローが不安定だったりすると、事業安定性に欠けるとして融資審査で落ちてしまう可能性が高まります。
そのため、融資を受けるためにもある程度の自己資金を用意しなければならないことは事実であり、経済的な安定性をアピールすることが大切です。
融資を申し込もうとする利用者や事業者が、過去にローン返済の滞納や繰り返しの遅延を起こしていたり、いっそ自己破産などを経験していたりする場合、一定期間を経るまでは信用情報機関にその経歴が登録されており、融資審査で非常に不利な状況になってしまいます。
そもそも信用情報機関において問題の過去が記録されている時点で、返済について不信感や不安感を強めてしまうため、いわゆる「信用情報に傷がある」という期間は融資に落ちる可能性が高まるでしょう。
融資を行う機関や団体は、あくまでも返済や完済を前提として融資を実行します。そして、そのためには安定的な事業が長期的に維持されることが不可欠です。
それにもかかわらず、事業計画書やキャッシュフローのシミュレーションなどが甘い内容になっており、事業性についても説得力がなく信頼できないものであれば、そもそも事業継続や事業所の将来性に不信感を抱かれて融資にも落ちやすくなります。そのため返済計画や事業計画は念入りに作成してください。
事業を営む上で、様々なリスクは常に存在しています。そのため、どれほど明確に事業計画をプランニングしても、やはり思いがけないリスクやトラブルを踏まえた上で、収支予測や返済計画といったキャッシュフローのシミュレーションを行わなければなりません。
例えば、毎月の収入をそのまま返済に充てて資金が残らないといった計画は、ちょっとしたイレギュラーが発生するだけで破綻してしまう可能性があり論外です。
銀行融資を受けられない中小の介護事業者におすすめなのが介護報酬担保ローンと介護ファクタリングを利用した資金調達方法。それぞれ目的に合ったおすすめの会社をご紹介します。
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