人材確保等支援助成金は厚生労働省が管轄する助成金制度であり、介護業界を含めて人材不足が叫ばれる様々な業界において、魅力的な雇用創出の推進を目指して実施されている助成金です。このページでは人材確保等支援助成金について解説していますので、ぜひ参考としてご活用ください。
なお、人材確保等支援助成金の内容はひんぱんに見直しや改定が行われるため、申請を検討する際は改めて厚生労働省の公式ホームページをご確認ください。
人材確保等支援助成金とは、厚生労働省が主体となって魅力的な雇用創出の推進を支援するために実施している助成金事業です。離職率の高さや求職者の減少など、人材確保が難しかったり人手不足が深刻化したりしている事業を対象として多角的な助成金が設定されており、介護業界においても介護福祉機器の導入や離職率改善への取り組みなどに関して経費の一部が助成されています。
また、人材確保等支援助成金には複数のコースが設定されており、雇用管理制度助成コースや介護福祉機器助成コースなど、介護業界や介護事業者に活用しやすいコースが用意(一部休止)されているので注意してください。
人材確保等支援助成金の申請を行う際は、生産性の向上や離職率の低下などを目標に据えた人材確保等支援助成金計画書を作成して提出することが必要です。
そもそも人材確保等支援助成金は介護事業者や介護業界に携わる事業者が、魅力ある雇用創出を目指して環境整備や雇用体制の刷新といった取り組みを行うことを前提としている助成事業であり、助成金を受け取るには制度の活用によってどれだけ離職率改善などを達成できるか、またそのためにどのような取り組みを実施するのかといった内容を計画としてまとめなければなりません。
加えて、計画書の要件や達成目標はコースによってそれぞれ設定されており、まずは介護業界にとってどのようなコースが適しているのか概要を把握しておきましょう。
研修制度や諸手当等制度、健康づくり制度といった様々な雇用管理制度の導入や実施を通して、従業員の離職率の低下に向けた取り組みを進める事業者を対象とした、人材確保等支援助成金のコースです。
主な要件として、雇用管理制度の導入や離職率目標の達成などが設定されており、目標達成(離職率低下)を実現した際に「57万円」の助成金を受け取ることができます。
しかし、令和4年4月1日以降、令和5年度も引き続き整備計画の新規受付が休止されているため注意してください。令和4年3月31日までに計画書を提出して申請を行っている場合については手続きが可能となっています。
受給要件としては、事業主が以下の措置を実施することが定められています。
離職率をどれだけ低下させるかといった目標は事業者の規模(一般被保険者の人数)によって区分が定められており、目標値として3~15%の範囲でそれぞれ設定されています。また、目標達成までの期間は、計画を実施・終了してから1年経過するまでの期間となっていることもポイントです。
また雇用管理制度整備計画には具体的な制度項目が設けられており、以下の制度について計画書を作成し、管轄の労働局の認定を受けなければなりません。
目標を達成した場合に57万円が助成されます。
介護事業者が、介護福祉機器や関連設備の導入によって従業員の労働環境の改善などを行い、その取り組みによって離職率の低下が達成された際に設備導入にかかった費用や保守契約費等の一部が助成される制度です。加えて、機器の使用について必要とされる研修や教育プログラムに取り組んだ費用も助成対象費用となることがポイントです。
しかし、人材確保等支援助成金において介護福祉機器助成コースは令和3年度から機器導入助成が廃止されています。
介護福祉機器助成コースにおいては以下の要件を満たさなければなりません。
導入・運用計画は、介護労働者の労働環境の改善や向上を目的として、どのような介護福祉機器を導入し運用していくのか、計画書にまとめて管轄の労働局長の認定を受けることが必要です。また、実際に計画を実行し、さらに計画期間の終了後1年が経過するまでに、計画前の離職率から目標値以上を低下させていなければなりません。
低下させる離職率の割合(達成目標)は事業者の規模によって異なっており、目標値は3~15%の間でそれぞれ設定されています。
その他にも必要に応じて受給要件が設定されています。
受給金額は助成対象費用の合計金額の20%が上限となっており、金額では最大150万円です。ただし生産性要件を満たした場合は35%が助成されます。
助成対象費用には、介護福祉機器の導入にかかった費用(利子含む)の他、保守契約費や研修費などが含まれます。
しかし、生産性要件は令和5年4月1日現在ですでに廃止されているため注意してください。
人事評価改善等助成コースは、社内の人事評価制度を整備もしくは刷新し、定期昇給等だけに限らない賃金制度を設けることによって、生産性の向上を推進したり、賃金アップや離職率低下を実現したりした事業者に対して支払われる助成金です。
そのため、人事評価改善等助成コースでは達成目標に離職率の低下だけでなく賃金アップも含まれており、従業員の賃金アップを前提とした事業計画を作成し実施することが前提となります。
人事評価改善等助成コースは令和4年4月1日以降、令和5年度も引き続き整備計画の新規受付が休止されています。ただし、令和4年3月31日までに計画書を提出して申請を行った事業については手続きを行うことが可能です。
人事評価改善等助成コースの受給には、事業主が以下の取り組みを実施することが必要です。
まず重要な点として、計画期間の終了後1年経過までに離職率の低下と賃金アップを同時に達成しなければならないことが挙げられます。加えて、計画によって増加させた賃金を、再び引き下げた場合は要件を満たさなくなる点にも注意しなければなりません。
賃金アップの目標値は「2%以上」となっており、離職率の目標値は「事業規模が1~300人:維持」・「事業規模301人以上:1%」となっています。
計画目標を達成した場合、助成金として80万円を受給することが可能です。
少子高齢化と労働人口の減少が進む日本において、介護業界へ海外からの人材を取り入れる制度も多角的に進められており、人材確保等支援助成金においても外国人労働者に関連した「外国人労働者就労環境整備助成コース」が設定されています。
外国人労働者就労環境整備助成コースでは、外国人特有の事情や条件に配慮して就労環境を整備することで、外国人労働者の職場定着を推進する取り組みを行った事業主に対して助成金が支払われます。
また、外国人と一口にいっても国や地域によって様々な文化や習慣、信仰などの違いがあり、介護事業主としてそれぞれの外国人労働者のために労働環境の改善を目指すことが必要です。
外国人労働者就労環境整備助成コースの受給要件は主に以下のようなものとなります。
そもそも論として、すでに外国人労働者を雇用していることが必要です。また、就労環境整備計画について認定を受けた上で、雇用労務責任者の選任や各種規則やマニュアルの多言語化、外国人労働者からの苦情や相談を受けられる体制の確立といった、就労環境整備措置を新たに設けることが求められます。加えて一時帰国についても休暇制度を整備しなければなりません。
また外国人労働者就労環境整備助成コースでは目標達成の離職率が設定されており、計画実施によって10%以下にまで離職率を抑えられることが条件です。
受給金額は、受給要件を全て満たした上で、支給対象経費に規定の助成率を乗算して決定されます。
助成率は賃金要件を満たしている場合と、満たしていない場合によって分けられており、賃金要件を満たした場合は「助成率2/3(上限72万円)」、賃金要件を満たしていない場合は「助成率1/2(上限57万円)」となります。
支給対象経費は制度実施にかかった必要経費となり、詳細は多岐にわたるため必ず窓口へ相談して内容を確認するようにしてください。
どのコースであれ、人材確保等支援助成金の申請における基本的な流れとしては、それぞれのコースと達成目標に関連した計画書を作成し、管轄の労働局長から認定を受けた上で提出・申請することが必要となります。
具体的な制度や取り組みは計画書にもとづいて実施されることが条件となっており、計画にまとめられていない取り組みや制度を実施しても、その分の費用は対象外になってしまう可能性があるため最初にしっかりと計画書を作成することが重要です。
申請後は計画の実施に取り組み、計画期間が終了してから一定期間経過後の実績をまとめて提出します。
人材確保等支援助成金では、計画にもとづいて取り組みを実施し、その結果として離職率の低下や賃金アップが達成された実績に応じて助成金が支給されることがポイントです。
つまり、ただ計画を作成して申請したり、制度を実施したものの十分な目標達成が適わなかったりした場合は、助成金を受け取ることができません。
加えて、実際に助成金を受け取れる前に各取り組みを実施したり賃金アップを行ったりしなければならず、事業主の費用負担が前提になっていることも重要です。
人材確保等支援助成金は介護業界の人手不足解消をターゲットに設定されている助成金制度であり、積極的に活用していきたい制度である一方、そもそも事業主が事前の計画にもとづいて労務環境の改善などを実施しなければなりません。
そのため、先に制度の実施や環境整備に必要な費用を事業主が用意しなければならず、場合によっては介護報酬担保ローンや介護ファクタリングといったシステムを活用して、制度の実現にかかる現金を準備するといったプランも有効です。
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