このページでは、介護事業者が安定して事業を継続するために考えなければならない資金繰りについて詳しく解説しています。介護事業における資金繰りやキャッシュフローの基本を理解するための参考としてご活用ください。
介護事業の資金繰りを悪化させる原因の1つとして、介護サービスを提供したタイミングと、介護報酬の全額を収入として得られる時期との間におよそ2~3ヶ月ものズレがあるという点が挙げられます。
そもそも介護報酬は、利用者が負担する1割と、介護給付費によって補填される残りの9割によって構成されているという点が重要です。つまり、介護事業者がサービスを利用者へ提供した際に得られるのは報酬全体の1割だけであり、全額を得ようと思えば行政による残額の入金日まで待たなければなりません。
そのため、どうしても介護事業ではキャッシュフローの穴が生じやすくなります。
キャッシュフローの悪化を改善する方法として、多くの企業では様々なコストカットを行って経費圧縮を目指すといったプランが考えられるでしょう。しかし介護事業における経費は大半が人件費に集約されており、介護事業における経費削減はどうしても人件費について触らざるを得ないといった困難さがあります。
そもそも介護サービスは専門的な知識とスキルを備えた介護のプロが提供するものであり、人件費を削減することは必然的に介護サービスの品質低下につながりかねません。品質が低下すれば、利用者からの不満が強まって利用者の減少につながるといった悪循環の引き金となります。
介護事業において人件費削減が困難であることは上述しましたが、そもそも介護事業に関しては法律によって人員基準が設けられていることも重要です。つまり、専門的な人材を一定数以上、必ず事業所に所属させておかなければならないと、法律によって定められているということです。
当然ながら、法律の基準を無視して人員を削減すれば適正な営業を持続することができなくなるため、従業員を減らすのでなく、十分な利用者を確保することを最重要課題として考える必要があります。
高齢者の人口が少ないエリアで介護事業をはじめても、地域での需要が少ないために想定通りの利用者を確保できません。また、エリアによって賃料の相場も異なります。賃料は継続して発生するコストですから、熟考しながら慎重に立地を選ぶことが大切です。
資金繰りが悪化する前に、銀行や信用金庫などの金融機関の融資やビジネスローンを活用する方法があります。日本政策金融公庫で審査が断られたとしても、金融機関やビジネスローン会社なら融資を受けられる可能性があります。
ビジネスローン会社は銀行や信用金庫などの金融機関よりも審査が易しい、即日融資に対応しているところもありますが、その分金利は高めです。銀行や信用金庫は審査は厳しめですが、ローン会社よりも低い金利で融資を提供してくれます。複数の金融機関を比較した上で、最も事業所運営に適したほうを選択しましょう。
ファクタリングとは、事業者が持っている売掛金をファクタリング会社に売却して資金にする方法です。介護事業では、サービスを提供してから介護報酬が入金されるまでに約2~3か月かかります。ファクタリングを活用すれば、入金日よりも早く資金化できます。
どうしても前倒して資金が必要な際に有効ですが、ファクタリングの場合、売却には約10~20%の手数料がかかり、ファクタリング会社に支払う必要があります。
介護事業をはじめるとき、条件を満たせば国や自治体から助成金や補助金を受け取ることができます。助成金や補助金は、融資とは異なり返済義務がありません。
設備投資を行う、人材を確保する、職場環境の改善を行うなどで助成金・補助金を活用できれば、資金繰りが楽になるでしょう。さまざまなタイミングで助成金・補助金制度が実施されますので、速やかに申請できるよう常に意識しておくようにしてください。
日本政策金融公庫が実施する、事業を開始したばかりの事業主のための「新創業融資制度」や介護事業向けの「ソーシャルビジネス支援資金」など、公的な融資を活用するのもひとつの手です。
日本政策金融公庫は国が運営する機関のため、銀行など民間の金融機関よりも低金利で融資を受けることができます。融資を受けるための審査は厳しいものの、無担保・保証人なしで申し込めるため、ぜひ活用したいところです。
介護事業に限らず、事業資金を確保する方法の1つとして、日本政策金融公庫や銀行、信金など様々な団体や金融機関が実施している各種融資制度を利用するといったものがあります。
融資には内容ごとに利息や返済日といったものが定められており、毎月の返済額や完済時期といった返済計画はキャッシュフローを考える上で決して無視できません。
また、融資制度によっては申請者に条件を定めていることもあり、必ず自社とのマッチングを行います。
融資制度と異なり、行政などが実施している補助金制度や助成金制度は一般的に返済義務がありません。そのため、介護事業に限らず企業の経営者であれば積極的に利用していきたい制度といえます。
ただし、補助金制度や助成金制度には必ず事業の実施目的があり、制度の利用者にはそれぞれに要件が定められていることも重要です。また、要件を満たしていても審査によって給付が認められないこともあり、時間的に余裕を持って申し込むことがポイントです。
ファクタリングサービスとは、事業者から売掛金などの債権を買い取り、手数料などを差し引いた上で現金化してくれるサービスです。
介護報酬は、サービスが発生した時点で将来的な支払いが行政から確約されています。そのため、介護報酬ファクタリングを取り扱っている業者にとっても、安心感のある債権だといえるでしょう。
介護報酬ファクタリングを利用すれば、本来の入金日より先に相当分の現金を得られるため、キャッシュフローの安定に役立ちます。
介護報酬ファクタリングは便利な制度ですが、一方でデメリットもあることを忘れてはいけません。
まず、介護報酬ファクタリングを含めて、ファクタリングサービスには必ず手数料が発生します。つまり、介護報酬ファクタリングを利用する限り介護報酬の満額を受け取れず、ファクタリングを前提とした自転車操業に陥るリスクがあります。
そのため、原則として介護報酬ファクタリングに依存しすぎるのでなく、自力でキャッシュフローを安定させられるよう事業計画を考えることが大切です。
介護報酬担保ローンとは、文字通り介護報酬を担保として金融機関などから融資を受ける方法です。介護報酬を債権として扱い、現金を早期に調達するという方法は介護報酬ファクタリングと似ていますが、ファクタリングが債権の買い取りであることに対して、介護報酬担保ローンはあくまでも借入金という扱いになります。
介護報酬担保ローンはファクタリングよりも多額の金額を融資してもらいやすい一方、長期的に返済計画を練るといった必要もあります。
銀行融資を受けられない中小の介護事業者におすすめなのが介護報酬担保ローンと介護ファクタリングを利用した資金調達方法。それぞれ目的に合ったおすすめの会社をご紹介します。
税金未納、赤字決算でも融資可能
医療・介護業界向け専門の融資会社
迅速かつ細やかなサービス
自由返済にも対応
新規融資の場合は最短で3日、
利率上限13.70%
※3社の選出基準について
「介護報酬担保ローン」Googleと検索し上位表示される融資会社のうち、公式ホームページに下記の記載があった会社をピックアップしています。
・契約利率(年)の上限が15%まで(~15%と明記されている)
・「保証人の有無」の記載
・「介護報酬担保ローン」プランの記載
(2022年3月7日調査時点)
※1.担保提供者の連帯保証が原則必要。また法人契約の場合は、代表者の連帯保証が原則必要
※2.追加融資の場合は最短即日
最短2日で資金化
手数料の低さも魅力
顧客にあわせて
柔軟に手数料を設定
<選出基準>
※公式ホームページに下記の記載があった会社をピックアップしました。
・「介護報酬担保ローン」の記載 ・「融資額」の記載 ・「担保」の記載(介護給付費など)
(2022年3月7日調査時点)