中小の介護事業者・障害福祉事業者のための資金繰り解決Navi

介護事業で使えるコロナ融資制度

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により売り上げが減少し、資金繰りに困っている介護事業者の方も多いでしょう。社会経済活動も少しずつ正常化に向けての動きを見せていますが、介護事業者の方にとっては今後も予断を許さない状況が続いていくと予想されます。

資金調達として融資制度の利用を検討している介護事業者の方に向けて、「福祉医療機構の福祉貸付事業」「日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付」を紹介します。

目次

福祉医療機構の福祉貸付事業

福祉医療機構は、福祉や医療施設への貸付事業を行なっている厚生労働省所管の独立行政法人です。コロナ融資制度としては、新型コロナウイルス感染症の影響で事業の継続に支障がある福祉関係施設を対象に経営資金の融資を実施しています。

福祉医療機構の融資制度を利用すると、6,000万(新型コロナウイルス感染者が出たことによる休業等で減収となった施設は1億円)を限度とした融資額を無担保で受け取ることが可能。法人ではなく施設単位での上限金額となり、複数の施設を展開している法人の場合はそれぞれの施設で6,000万または1億円を上限とした融資を無担保で受けられます。

相談機関によっては融資を受けられる事業規模に制限を設けているところもあるなか、福祉医療機関のコロナ融資は事業規模に対象要件を設けていないのが特徴です。また、貸付金利に一定の利率を上乗せして支払うことで利用できる保証人不要制度も用意されています。

制度の概要

融資条件
(令和4年10月以降借入申込書到着分)

貸付対象:前年同期などと比較して減収若しくは利用者が減少又は自治体からの休止要請に対応など、新型コロナウイルス感染症により経営に影響を受けた場合

  • 償還期間:
    15年以内
  • 据置期間:
    5年以内
    ※据置期間は元金の支払猶予期間です。
  • 貸付利率:
    (当初5年間)6,000万円まで 基準金利同率/6,000万円超の部分 基準金利+0.8%
    (6年目以降)基準金利+0.8%
  • 貸付金の限度額:
    なし
  • 無担保貸付:
    6,000万円

貸付対象:施設利用者又は従業員及びその家族に、新型コロナウイルスの感染者が出たことによる休業等により、減収となった入所施設(地域密着型を除く)

  • 償還期間:
    15年以内
  • 据置期間:
    5年以内
    ※据置期間は元金の支払猶予期間です。
  • 貸付利率:
    (当初5年間)1億円まで 基準金利同率/1億円超の部分 基準金利+0.8%
    (6年目以降)基準金利+0.8%
  • 貸付金の限度額:
    なし
  • 無担保貸付:
    1億円

※引用元:独立行政法人福祉医療機構|福祉貸付における新型コロナウイルス対応支援資金のお手続きのごあんない(https://www.wam.go.jp/hp/fukushi_shinngatacorona_moushikomishorui/)

福祉医療機構の融資のポイント・注意点

福祉医療機構の借入申込金額の上限目安は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた月と受ける前の年(前年・2年前・3年前)の同月を比較した際の減収額の12ヶ月分です。どのぐらいの借入を申請できるのかについては、福祉医療機構の公式HPで提供されている申込書(「新型コロナウイルス感染症に伴う経営資金に係る補足説明」(提出書類2)」)で融資額の上限目安を算出できます。

注意したいのが、日本政策金融公庫からコロナ融資をすでに受けている場合、福祉医療機構のコロナ融資は利用できない点。そのため、貸付利率や限度額、期間などの条件を比較しながら、慎重に検討する必要があります。

また、福祉医療機構の拠点は東京と大阪にしかなく、遠方の事業者は手続きに時間を要する可能性があることは留意しておいたほうが良いでしょう。

日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付

日本政策金融公庫は、2008年10月に国の全額出資でつくられた政策金融機関です。一般の金融機関の補完的な役割を担っており、銀行などから融資を受けるのが難しい中小企業や零細企業、新しく起業をする方への融資を積極的に行なっています。

新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者を対象とした融資制度としては、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を実施。「国民生活事業」と「中小企業事業」の2つの窓口を設けており、どの窓口で申請するかで融資限度額が異なります。

国民生活事業の融資限度額は8,000万円(※1)で、中小企業事業は6億円(※2)です。国民生活事業の対象となるのは小規模事業者または個人事業主で、国民生活事業と中小企業事業のどちらに該当するのかについては日本政策公庫にご相談ください。

(※1)参照元:日本政策金融公|新型コロナウイルス感染症特別貸付(https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_m.html)

(※2)参照元:日本政策金融公|新型コロナウイルス感染症特別貸付(https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_t.html)

制度の概要

融資条件

貸付対象:新型コロナウイルス感染症の影響を受け、次のいずれにも当てはまる方
1.最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含む。)の平均売上高が前4年のいずれかの年の同期に比し5%以上減少していることまたはこれと同様の状況にあること
2.中長期的にみて、業況が回復し、かつ、発展することが見込まれること

  • 返済期間:
    20年以内
  • 据置期間:
    5年以内
  • 利率:
    基準利率
    ※ただし、4億円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率
  • 融資限度額:
    直接貸付 6億円
  • 担保:
    無担保

※引用元:日本政策金融公|新型コロナウイルス感染症特別貸付(https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_t.html)

日本政策金融公庫の融資のポイント・注意点

日本政策金融公庫では民間の金融機関からの融資を受けにくい会社や個人事業主への支援を積極的に行なっているため、ほかの相談機関で審査が通らなかった事業者でも融資を受けられる可能性があります。

ただし、創業後3ヶ月未満の事業者は、新型コロナウイルス感染症特別貸付の融資を利用できません。創業して間もない事業者で融資を希望する場合は、そのほかの新規開業資金や起業家支援資金などの融資制度を利用できる可能性があるため、日本政策金融公庫に相談してみましょう。

過去に新型コロナウイルス感染症特別貸付の融資を受けたものの、資金繰りが悪化した場合は、融資の相談を再度行うことが可能です。

新型コロナウイルス感染症特別貸付の申請はインターネットまたは郵送で行なえますが、初めて利用する事業者は最寄りの支店での面談が必要になります。日本政策金融公庫の支店は北海道から九州まで全国150拠点以上あるため、日本政策金融公庫の公式HPで最寄りの支店を確認しておくと良いでしょう。

介護事業で使えるコロナ融資制度【まとめ】

今回紹介した福祉医療機構や日本政策金融公庫でもそうですが、コロナ融資は据置期間が最長5年と長く設定されている傾向にあります。据置期間とは、元本の返済が猶予されて利息分の支払いだけで済む期間のことです。

据置期間があることでその間は事業に集中でき、資金繰りを安定させやすいというメリットはありますが、一方で借入完済までの期間が長期化することは留意しておかないといけません。あくまでも元本の返済が猶予されているだけなので、据置期間の終了後に返済に困ることがないよう、必要な売上や利益、固定費の削減の程度などを明確にして返済計画を立てることが大切です。

借入期間中に介護報酬の改定も行なわれるはずなので、報酬改定の情報も収集しながら定期的に返済計画の見直しを行ないましょう。

ローンやファクタリングの利用も視野に

介護事業者がとれる資金ショートの防止策としては融資制度のほかに、介護給付費を早めに受け取るのも有効な手段です。ただし、介護給付費は請求から支払いまでにタイムラグが生じるため、経営維持に必要な資金を早めに調達したい場合は、介護報酬担保ローンや介護ファクタリングを検討しましょう。

介護報酬担保ローンは、介護給付費を担保に融資を受けられる方法のことです。まとまった資金を調達できるため、「未納分の税金や借入金をまとめて返済したい」「銀行融資までの繋ぎがほしい」「現在利用している介護ファクタリングを辞めたい」などのケースに適しています。

介護ファクタリングは、介護報酬債権の譲渡を条件に介護給付費を約8割程度で買い取ってもらう方法のこと。通常受け取りに2~3ヶ月かかる介護給付費を最短2日で資金化できるのが魅力です。どちらもメリット・デメリットがあるため、それぞれの違いを踏まえながら利用を検討してみましょう。

そのほか介護事業における新型コロナウイルス感染症に関する課題・対応策

急な人員不足に陥った場合

職員の感染や濃厚接触者になったことでの待機期間など、新型コロナウイルス感染症に伴う事情で職員が出勤できず、一時的に人員配置基準を満たせなくなる場合があります。超高齢社会を迎えている日本において介護事業は社会に不可欠なサービスのため、介護報酬が減額されないようにとサービスを休止してしまうと、大きな混乱を招いてしまうでしょう。

新型コロナウイルス感染症に伴う事情で一時的に基準を満たせない場合、人員基準が臨時的に緩和され、少ない人数での運営が認められています。自治体によって対応が異なる場合があるため、詳しくは自治体にご相談ください。

また、東京都では新型コロナウイルス感染症の影響で介護職員に不足が生じた場合、都が代替職員を派遣する「代替職員の確保による応援体制強化事業」を展開しています。都内の事業者は人員不足に陥った場合の対応策として、詳細を確認しておくと良いでしょう。

支払い・返済が間に合わない場合、融資以外の対応策

借り入れの返済や納税がままならない場合の対応策として、支払いを猶予してもらえないか検討してみましょう。

借り入れの返済が難しい場合、金融機関に相談することで返済額の一時的な減額や返済の据え置き期間を設けてもらえる可能性があります。次の融資が難しくなるかもしれないというデメリットはあるものの、借り入れのリスケジュールができれば出費の負担を抑えられ、資金ショートを回避することができます。

また、新型コロナウイルスの影響で納税が難しい場合は、財務省が設けている納税猶予制度を活用しましょう。2020年2月2日以降に前年度より20%以上の収益が減少した月が1ヶ月以上ある事業者が対象となり、担保や遅延金なしで納税を1年間猶予してもらえます。

介護施設で行うべき感染防止策とは

介護施設は感染症に対する抵抗力の弱い高齢者の生活の場となるため、新型コロナウイルス感染症をはじめ、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症への対策が必要です。

厚生労働省は、感染予防を呼びかける「社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について(その2)」を2020年4月に提示。感染防止に向けた職員間の情報共有・連携の実施、感染防止の対策を検討するための委員会の設置や取り組み方針の再検討および再徹底、利用者や職員の健康状態への留意などを求める内容になっています。

また、3密を可能な限り避けるために、利用者数を減らしたり、換気の励行やマスクを着用したりなどの取り組みも必要です。送迎時の対策や感染者が発生した場合の対応などについても、しっかりと話し合っておきましょう

感染防止策を話し合う際、厚生労働省が提示している「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」についても確認しておくことをおすすめします。

※参照元:厚生労働省|社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について(その2)(一部改正)[PDF](https://www.mhlw.go.jp/content/000683520.pdf)

※参照元:厚生労働省|高齢者介護施設における感染対策マニュアル改訂版[PDF](https://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf)

スタッフのメンタルケアについて

高齢者は感染症にかかると重症化しやすいため、サービスを提供するスタッフは日頃から細心の注意を払う必要があります。また、利用者の心身の不調や感染症の収束の見通しがつかないことへの不安などもあり、大きな心理的ストレスを抱えやすい状況です。そのため、スタッフのメンタルヘルス(心の健康)へのケアが、これまで以上に重要になってきます。

メンタルヘルスのケアとしては、ストレスチェックの実施をはじめ、職場環境の改善やスタッフに対する相談対応、産業医などによるケア、職場復帰の支援などがあげられます。スタッフが元気に働ける職場環境を実現するために、厚生労働省が提示している「新型コロナウイルス感染症に対応する介護施設等の職員のためのサポートガイド」を参考にしながら、スタッフのメンタルヘルスケアの取り組みについて検討しましょう。

※参照元:厚生労働省|新型コロナウイルス感染症に対応する介護施設等の職員のためのサポートガイド(第1版)[PDF](https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000757739.pdf)

Selection
資金繰りにお困りの中小介護事業者に
ローンorファクタリング業者3選

銀行融資を受けられない中小の介護事業者におすすめなのが介護報酬担保ローンと介護ファクタリングを利用した資金調達方法。それぞれ目的に合ったおすすめの会社をご紹介します。

ローン会社
お探しの方はこちら
ファクタリング会社をお探しの方はこちら
最大4ヵ月分の融資が可能

AGメディカル

税金未納、赤字決算でも融資可能
医療・介護業界向け専門の融資会社

AGメディカル
引用元:AGメディカル
https://www.agmedical.co.jp/borrow/products/welfare/
ローンの概要
  • 融資額:100万円~10億円
  • 返済方法:元金一括返済
         元利均等返済
  • 融資のスピード:最短3日
  • 保証人:原則不要(※1)
  • 契約利率(年):3.5%~15.0%
  • 対応エリア:全国
自由返済にも対応

栄光商事

迅速かつ細やかなサービス
自由返済にも対応

栄光商事
引用元:栄光商事
https://www.eikou-tegata.com/
ローンの概要
  • 融資額:100万円~5,000万円
  • 返済方法:一括・元利均等
        元金均等・自由返済
  • 融資のスピード:最短2日
  • 保証人:保証人付(法人の代表者)
  • 契約利率(年):8.0%~15.0%
  • 対応エリア:一部地域対応不可
利率上限の低さが特徴

クレイリッシュ

新規融資の場合は最短で3日、
利率上限13.70%

クレイリッシュ
引用元:クレイリッシュ
https://901901.jp/
ローンの概要
  • 融資額:100万円~1億円
  • 返済方法:元利均等
         元利均等最終バルーン
  • 融資のスピード:最短3日(※2)
  • 保証人:代表者の保証が必要
  • 契約利率(年):8.80%~13.70 %
  • 対応エリア:公式HPに記載なし

※3社の選出基準について
「介護報酬担保ローン」Googleと検索し上位表示される融資会社のうち、公式ホームページに下記の記載があった会社をピックアップしています。
・契約利率(年)の上限が15%まで(~15%と明記されている)
・「保証人の有無」の記載
・「介護報酬担保ローン」プランの記載
(2022年3月7日調査時点)

※1.担保提供者の連帯保証が原則必要。また法人契約の場合は、代表者の連帯保証が原則必要
※2.追加融資の場合は最短即日

「資金化の早さ」で選ぶなら
クレディセゾン

最短2日で資金化
手数料の低さも魅力

クレディセゾン_公式HPキャプチャ
引用元:クレディセゾン
https://factoring.saisoncard.co.jp/care.html
ファクタリングの概要
  • 契約から資金化まで:最短2日
  • 審査通過率:公式HPに記載なし
  • 手数料:0.6%〜
「審査通過率」で選ぶなら
カイポケ

審査通過率99.8%
信用情報も不要

カイポケ_公式HPキャプチャ
引用元:カイポケ
https://ads.kaipoke.biz/factoring.html
ファクタリングの概要
  • 契約から資金化まで:約5営業日後
  • 審査通過率:99.8%
  • 手数料:~0.8%
「手数料の低さ」で選ぶなら
エヌエスパートナーズ

顧客にあわせて
柔軟に手数料を設定

エヌエスパートナーズ_公式HPキャプチャ
引用元:エヌエスパートナーズ
https://nspkk.com/service/kaigo/
ファクタリングの概要
  • 契約から資金化まで:公式HPに記載なし
  • 審査通過率:公式HPに記載なし
  • 手数料:0.25%~

<選出基準>
※公式ホームページに下記の記載があった会社をピックアップしました。
・「介護報酬担保ローン」の記載 ・「融資額」の記載 ・「担保」の記載(介護給付費など)
(2022年3月7日調査時点)