開業時には多額の資金が必要です。金融機関や日本政策金融公庫といった公的機関から融資を受けるケースがほとんど。融資の申し込みを行う場合は、金融機関の担当者へ事業について説明する必要があります。金融機関は「信用力、将来性、計画性はあるのか」を見極めなければなりません。そのため融資を受ける際には事業計画書を作成して、事業について説明できるようにしておきます。
事業計画書は簡易的ではなく、事業概要や収支計画、資金計画などを細かく記載します。事業計画や事業所の方針を整理することで問題点・課題を見つけていき、より現実的なプランを作成しましょう。将来起こり得るリスクも考慮しながら、見通しを立てることが大切です。
事業の方向性をスタッフと共有する際にも役立ちます。事業計画や企業理念、求める人材像などをわかりやすく伝えられると、スタッフも方向性を見失わずに働けるでしょう。
事業計画書には「介護施事業を始めるにあたってどのような目的と目標を持っているのか」記載しましょう。「目標を実現するために、具体的にどのような施策を行うのか」明確にすることも重要です。目標が曖昧で施策も漠然としていては「現実的ではない」と却下されます。
さらに人材の評価指数を明確化しておくことも大切です。人材一人ひとりの仕事ぶりを評価する際、明確な基準がなければ不平不満が溜まってしまいます。円滑な運営を行うためにも、事業計画書に評価指数を明確に記載しておきましょう。
開始する事業がどんなサービスを提供するのか、規模や対象とする利用者、売上の構造などを記載します。訪問介護事業を立ち上げる場合に「身体介護として、入浴・排せつ・食事・体位交換・通院介助を行う」「生活支援として、調理・洗濯・掃除・買い物代行を行う」といった詳細で簡潔な記載が必要です。
事業形態・会社名・代表者氏名・所在地など、会社の基本情報を記載します。介護保険事業者として指定を受けるためには、法人の要件を満たすことも必須。どのような事業を行う法人なのかも記載します。
成功できる事業であるとアピールするために、会社概要と併せて創設者・創設メンバーについても記載します。経歴・資格・実績なども明記することで「このメンバーなら事業を成功させられる」とイメージしてもらいやすくなるでしょう。
代表取締役のほか、社外取締役や監査役など、現状の執行体制を全て記載します。また事業所管理者やサービス提供責任者などの氏名も記載しておきましょう。
「事業を展開するうえで重視している考え方や価値観」「会社の目標や方向性」を表すものです。どのような想いで創業して、何を大切にしているのか金融機関やスタッフへ伝わるように記載します。
開始する事業における市場の需要、競合の存在などを説明します。介護事業の場合は、利用者の定員数やターゲット層、規模などを明記します。なぜそのターゲット層やコンセプトにしたのか、理由も添えておくと良いでしょう。
開業年度の収入予測のほか、事業が軌道に乗った際の収入予測を記載します。介護事業における収入の予測は、利用回数や顧客数からサービス単価を予測しましょう。なお収入計画では、いつ損益分岐点を超えるのか明記しておくことも大切です。収入予測をもとに、いつ頃利益が出るかわかるようにします。
開業後に資金繰りが困難になることを避けるためにも、収支計画を作成しておく必要があります。介護事業では、国保連が報酬を入金するのは申請から2ヶ月後です。そのため開業後2ヶ月間は介護保険報酬を手にできません。黒字倒産のリスクもあるため、報酬を得るまでにどのくらい運転資金が必要になるのか予め確認して記載します。
施設の家賃や光熱費、車両費、設備投資、採用活動費や研修費など様々な費用が掛かります。どの時期にどのくらいの支出があるのか、資金はいくら必要でどのようにして捻出するか記載します。なお融資を受ける場合は、毎月の返済額や返済期間なども計画・記載が必要です。
法令で定められている運営・指定基準を必ず満たしましょう。基準を満たせず指定事業者と認められない場合は、介護保険サービスを提供することができません。
理想を語るのではなく、具体的にどう運営・展開していくのか明記する必要があります。防災・サービスの設備基準を満たす物件を確保できるのか、事故や災害が生じた際の対応、職員が欠勤した際はどうするのかなど、様々なリスクを想定して対応策を記載します。
事業計画書は他者が読むことを意識して作成します。専門用語を多用した場合、金融機関の担当者や事業所のスタッフに意図が正しく伝わらない可能性も。誰が読んでもわかりやすい事業計画書にすることが大切です。
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